美しい村を未来に残そう、白川郷レスポンシブル・ツーリズム
近年、特定の地域や時間に観光客が集中することによって本来の姿が失われたり、そこに暮らす住民の生活が損なわれたりする地域が世界中に増えています。白川郷でも観光車両による交通渋滞や観光マナーに関する住民との摩擦が大きな課題となっています。合掌造り集落はテーマパークではなく、人々が暮らす生活の場です。この記事では、白川郷を訪れる旅行者の皆様に知っていただきたいルールやマナー、美しい村を一緒に守っていくため、レスポンシブル・ツーリズム(責任ある観光)に取り組むことの大切さを紹介します。
白川郷レスポンシブル・ツーリズムとは
合掌造り集落には、現在も約500人の村民が実際に暮らしています。白川郷が美しいのは、その姿が観光のために作られたものではなく、先祖代々受け継いだ家に実際に暮らす人たちの日常があるからです。この美しい風景を未来に残すため、白川村の公式ホームページでは5つの「白川郷ルール」を紹介しています。
1. 指定の駐車場を利用すること
2. 集落内での火の取り扱いは厳禁
3. ゴミは持ち帰ること
4. 夜の観光は受け入れていない
5. 集落内でのドローン飛行は禁止
以下のリンクでは、この5つの白川郷ルールが設けられている理由や、レスポンシブル・ツーリズムの考え方についてより詳しく知ることができます。白川郷を訪れる前にぜひご一読ください。
漫画で知るリアルな白川郷の観光マナー
白川村のホームページでは、気を付けていただきたい観光マナーを4コマ漫画で紹介しています。この漫画は、集落の人々の実話をもとに描かれており、世界中から訪れる観光客のみなさんに親しみをもってマナーを意識してもらうため、5つの言語で公開されています。紹介されている事例の多くは、この場所に実際の暮らしがあることを知らなかったり、住民への配慮が足りなかったことによる「すれ違い」から起こったものです。この漫画を読めば、観光マナーを簡単に知ることができ、地域に優しい思いやりのある観光を楽しむことができます。
住民へのインタビューから、世界遺産の村の現状を知ろう
「白川郷に実際に住んでいる人がいる」ということを知っても、観光地の住民が何を感じているかを知る機会はなかなかありません。当サイトでは、住民の皆様にインタビューを実施し、村を訪れる人たちに伝えたいことを伺いました。地元住民だからこそ知っている、混雑を避けて快適に観光を楽しむコツなども紹介していますので、ぜひご覧ください。
渋滞や混雑を避けることも、レスポンシブル・ツーリズムにつながる
四方を山々に囲まれた秘境ともいえる白川郷では、土日や長期連休、秋の紅葉シーズンには大規模な渋滞が発生します。駐車場に入るまでに2時間以上かかることも・・・。集落へのアクセス道路は限られており、渋滞が発生すると観光はもちろん、通勤・通学、通院や買い物など、白川郷で暮らす住民の生活にも大きな支障が生じてしまいます。観光客の皆様が混雑を避けて来訪することが、村の暮らしを守ることにつながるのです。
当サイトでは過去のデータをもとに3か月先までの混雑予測カレンダーを紹介中!混み具合を事前に把握することができます。特に「非常に混雑」マークの日は、大規模な渋滞が発生する可能性が高いので、旅行日をずらすことを検討してみてください。また、渋滞は朝10時頃から始まることが多いため、朝早い時間に到着して午前中に合掌造り集落の観光を楽しみ、午後は近隣のスポットに足をのばすと混雑を避けて快適に観光をお楽しみいただけます。
また、渋滞回避のためのおすすめコースもあります。これを見て、ぜひ快適な旅をお楽しみください。
公共交通機関を積極的に使おう
大型バスの定員は40名程度。普通乗用車10∼20台分もの人が一度に移動することができます。周辺道路の渋滞緩和のため、白川郷を訪れる際は公共交通機関を積極的に利用しましょう。また、白川郷周辺は豪雪地帯で、冬場のマイカーでのアクセスは危険が伴います。特に「雪道に慣れていない」という方はバスを利用することで安全にお越しいただくことができます。
白川郷には高山、名古屋、金沢、高岡、富山の各地から高速バスが運行されており、すべてのバスが合掌造り集落からすぐの白川郷バスターミナルに発着します。ターミナル内には待合所、トイレ、観光案内所、コインロッカーが完備されており、ターミナルを拠点に快適な観光が可能です。バスの場合も、朝早い時間に到着する便を利用すると、比較的空いている時間帯にゆっくり観光ができます。
バスを利用して混雑を避けて観光するためのおすすめコースもあります。これを見て、快適な旅のプランニングに役立てましょう。
白川郷に暮らす人たちは、日々の暮らしと観光の調和を大切にし、美しい村を未来に残すために努力を重ねてきました。世界中からこの地を訪れる皆様も、白川郷ルールやマナー、それらの背景を知っていただき、一緒にレスポンシブル・ツーリズム(責任ある観光)を推進していきましょう。